備忘

毎日新聞 今週の本棚より


フーリエは資本主義の放埓に対しては何らかの制御システムは必要と考えるが、
共同体には競争原理が不可欠であることは認める。
人間は情念の生き物である以上、情念によって競争を余儀なくされるからだ。

フーリエによれば、人間の情念は、五つの第一情念【味覚・触覚・視覚・聴覚・嗅覚】、
四つの第二情念【名誉・友情・恋愛・家族愛】、三つの第三情念【複合・移り気・密謀】
の合計十二種類の情念からなるが、協同体はこれらの情念の持ち主である八一〇人
(ないしはその二倍)の規模で構成され、その成員が「累進セクト」「情念系列」といった
不分類的協同体に正しく組み込まれたときに初めて、「情念引力」ないしは「情念斥力」
が働いて一つの調和へと収斂していく

鹿島茂
『科学から空想へ −よみがえるフーリエ

4410円・・・高け〜。